ショップ出店作家「Caracol(カラコル)」さんインタビュー
Caracolさんはメキシコからの輸入した雑貨を中心に扱っています。
色鮮やかかつ民族調の独特な模様をしたものが多くあります。
インタビューではメキシコに留学していた話など、興味深いエピソードをたくさん頂きました。
メキシコ留学について
以前、メキシコに滞在されていたことがあるそうですが、そのあたりのお話をうかがえますか。どのくらいの期間、メキシコに滞在されていたのでしょう?
メキシコには一年ほど、大学時代に留学していました。
メキシコに留学ってなかなか珍しいと思いますが、それはどういった経緯なのでしょうか?
もともとスペインに半年ほど留学していたことが関係あります。スペイン語をもっと勉強したいと思って留学のプログラムに応募しました。国費留学というかたちで、奨学金をもらってメキシコに一年間行くことになりました。
それは語学留学というかたちなのでしょうか?
それもありますが、ほかにも文化人類学や国際関係学などの授業を受けて、あとは半年ほどマヤの方たちが住む村で実際に生活するという、フィールドワークみたいなことをやっていました。
マヤの方たちはどんな感じなのでしょうか? あのマヤ文明ですよね?
マヤ文明自体はとうの昔に滅んでいるんですけど、いま現在もマヤ語を使う方はおられますね。スペイン語だけではないです。生活自体はほぼ現代の一般生活といった感じです。もちろん伝統的な民族衣装やマヤ様式の住居などは残っていますが。
村の方たちはスマートフォンなど、普通に使っているのでしょうか?
そうですね。村では電気が通っているところも多いので、使っている方は多いです。貧しい家だとWi-Fiが通っていないので、公衆Wi-Fiのある広場にみんながスマホをいじりに集まったりしていましたね。
そうなんですか。ちゃんと電気が普及しているんですね。
ただ、ガスは通っていないところが多くて、火を起こすところから始めている家庭もあります。あとはカセットコンロで調理されている家庭も多いです。
村の皆さんはどのようなお仕事をされているのでしょう?
村にあまり仕事がないので、若い男の人たちは観光地に出稼ぎに行くことが多いです。ホテルで働いたり。
年配の方は村で農業をしている方が多いです。女の方はだいたい村に残るので、家事をやったり工芸品を作っています。
世代間のギャップが日本以上に凄い印象があるのですが、どうでしょうか?
上の世代の人たちはスペイン語がわからないのですが、あいだの世代の人たちは授業がスペイン語だったせいでマヤ語がわからない人が多くて、逆に子どもの世代になるとマヤ語を復興しようという動きがあり、授業でマヤ語を習うので両方話せたりします。
あいだの世代の人はマヤ語を聞くことはできても話せないので、子供が通訳に入ったりするという奇妙な現象が起きたりもします。
メキシコから工芸品を輸入するきっかけ
メキシコから工芸品を輸入することになった経緯を教えていただけますか?
学校を出た私は社会人になったけれど、一緒に暮らしたマヤの方たちと、なんらかの関わりを持ち続けたかったのですね。そういう思いで始めました。もともとは自分で現地に買い付けに行こうと思っていたのですが、ちょうどコロナが流行りだした頃だったので現地の友人に買い付けに行ってもらっています。
いまはコロナで観光客も減っているので、ちょっとでも現地の人たちの生活の援助ができればなと思っています。
商品画像でユカタン刺繍の首輪をしているワンちゃんは、自宅で飼われている子でしょうか?
実家で飼っている犬です。十五年くらい前にインターネットの保護犬サイトで見つけた子です。名前はジャックといいます。
家族のあいだで名前をどうするかですごく揉めたのですが、家族全員『パイレーツオブカリビアン』が好きだったので、主人公のジャック・スパロウの名前からいただきました。
シナトに商品をおくようになった経緯を教えてもらえるでしょうか?
うちでは犬の首輪も扱っているのですが、シナトさんは犬を連れてこられる場所なので、手に取ってサイズを確認することができるのがいいなと思い、置かせてもらうことになりました。
caracolさんはイベントとかに出店されることも多いそうですね。
ネットショップがメインなんですが、渋谷のスクランブルスクエアや、横浜の高島屋にイベント出店させてもらったり、メキシコのイベントに出させてもらったりしています。
ブランド名について
ブランド名のcaracol(カラコル)というのはどういう意味なのでしょうか?
スペイン語でカタツムリという意味です。日本のせかせかした日常生活と違って、メキシコだと生活リズムがゆるやかなんですよ。そういう価値観も大事だなと思い、スローな生き物の代表格のカタツムリが思い浮かびました。
それとマヤのカラクルム遺跡の名前にもあやかっています。Caracolにはカタツムリ以外に『らせん』といった意味があり、持続可能や生まれ変わりというニュアンスが含まれています。なによりcaracol(カラコル)って日本人にも発音しやすいので、いいなと思いました。
メキシコに留学してみて、感じたギャップ
メキシコで生活しているときに感じた、カルチャーショックなどはあるでしょうか?
さっき、メキシコ人はスローに生きているという話をしましたが、とにかく時間にルーズな人が多いです。待ち合わせに来なくて十分経ったので、こっちから電話をかけても全然出ない。何回かけても電話に出なくて困っていると、一時間後くらいに向こうから電話がかかってきて『今、シャワー浴びているからもうすぐ出ます』と連絡があったりします(笑)
電車が遅れているとかではなく、そもそも家を出てないのですか!?
出ていません(笑)最初はひどく戸惑いましたが、だんだんとルーズさに慣れてきて、相手が時間通りにこないときは一度家に帰ったり、相手から連絡があってから家を出るようにしたりと、いい加減なほうに合わせるようになりました(笑)七時からパーティといわれて、その時間に行ってみると、準備するところからいっしょに始めるかたちだったりします(笑)その場合でもだいたいみんなが集まるのが九時ごろだったりしますので。
二時間はすごい。まるごと映画一本分(笑)基本的にCaracolさんは『待たされる側』になったと思うのですが、逆に相手を待たせてしまったときは、相手は怒らないのでしょうか?
そうですね、怒らない人が多いです。ですが、ごくまれに時間にルーズではない人もいて、そういう人との約束に五分でも遅れると『日本人のくせに五分遅れてきたwww』みたいな反応をされたこともありますね(笑)
感覚的にわれわれと近い感じのメキシコの方もおられるわけですね。
はい、全員がルーズなわけではないですね。
今後の活動について
今後、展開していきたい商品について教えてもらえるでしょうか?
私がフィールドワークをしていたのがメキシコの南のほうの地域で、ユカタン州のものをもっと扱いたいという気持ちがあります。
そこでは洋服とかが多いのですが、ちょっと色味が強かったりするので日本でも着られるような色合いのものにしてもらったり、エプロンなら家でつけるものなので多少、派手でも着てもらえるかなと。
それこそ現地に行って、現地の方とコミュニケーションをとりつつ、日本受けするようなものを作っていきたいという気持ちがあります。
首輪だとハーフチョーク状のものを考えています。サイズ展開がそこまでシビアではないのでネットショップでも購入しやすいかと思いました。
今後も精力的にイベント出店をなさるのでしょうか?
いまは関東近辺のイベントが多いのですが、地方に出張していきたいです。あと、委託販売を増やしていきたいなと思っています。